皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
今夏、FIFA女子ワールドカップオーストラリア&ニュージーランド2023では
TVにかじり付いて日本選手の活躍を応援していたのではないでしょうか。
それにしても、ゴールデンブーツ賞を受賞した宮澤ひなたさんをはじめとする選手たちのスピードを生かした決定力は見事でした。
そこで決定力の向上にはどのような指導が良いのか、改めて考えてみました。
私はFWに求められる戦術的なボールの引き出し方は、普段の練習によって身に付けることができますが、
得点を取るフィニッシュの精度を高めるには実践的な工夫が必要だと考えています。
フィニッシャーが持つ特殊なスキルを伸ばすにはどうしたらいいか、私がチームを指導していた時からの重要なテーマでした。
今年、ある練習試合(トレーニングマッチ:TRM)を見ていたところ、
指導者が「オフサイド、オフサイド」と主審に要求する、よくある場面に遭遇しました。
指導者はTRMに勝ちたいのでしょうか? 審判員を育成したいのでしょうか? それとも選手を育成したいのでしょうか?
私はいわゆるポストシュートの練習時、FWの選手に常に次のように言っていました。
「GKとの駆け引きを考えない、試合場面を想定しないシュートは単なるキック練習にすぎない」。
ですからFWとGKの1対1の駆け引きが出てくるTRMに発生するチャンスを奪ってはFWとGKが育たないと考えています。
私は今でもTRMで笛を吹いています。というのは、指導者が試合を通して得点と守備の生きた練習をさせるタイミングを作り出し、
シュートスキルを高めることにつなげるからです。
オフサイド場面に飛び出した攻撃選手とGKが決定的に対峙した時にそのシチュエーションとなります。
もちろんGKもブレイクアウェイやセービングのスキルを同時に獲得できます。
そのチャンスを「オフサイド」の声でストップさせることは絶好の実践的練習を奪ってしまうことになります。
もちろん、オフサイドにならない動きを指導しているのであれば話は別です。
このFWのシュート技術向上については、
拙著”北海道サッカーの挑戦“で四方田氏(現横浜FC監督)は私と同様の指導観点を述べていますのでご覧ください。
1対1の状況を作り出すのは実に簡単です。TRM前に両チーム指導者と審判員、そして選手たちと事前確認するだけです。
アシスタントレフェリーはフラッグアップし続けておくことにします。
オフサイドからFWが得点をあげればロールバックしてオフサイドとし、
GKがセーブしたならば続行させればいいだけです。
もう一点重要な点は、指導者がレフェリーとなり、フィニッシュに求めるシチュエーションを作りだすことです。
何試合に数回あるか無いかの1対1ですから見落としてはもったいないと思います。
難しく感じるかもしれませんが、選手はすぐに順応しますし、動きを止めないという副次的な動きも定着させることができます。
ぜひチャレンジしてみてください。